魚屋御難
過日。
魚屋*1が来て、腰痛を訴えて帰る。
この不況下に、魚屋だけでは食べて行けず、副業に出掛けたのが祟り、一月せぬうちに胃痛と腰痛を患っていると言う。
おまけに、休日頭痛という、休みの日になると頭痛になる症状も頻出していると言う。
なんでも、平日、仕事中は緊張で脳の血管が収縮しているのが、休日になると、緊張がとけて、血管が拡大するせいで痛みが出るのだそうだ。
脳の中の血管は見えぬが、魚屋の額には、左右に一本ずつ立派な血管が走っている。
額の血管が、呼吸をするかのように、縮んだり、開いたりしている様子を思い浮かべていたら、気持ち悪くなって来たので、浦賀に向かって 空砲を発射した。
開国の日も近い。
※ 翻訳:魚田政太郎