■ふやかす民族
過日。
一杯のかけそば*1 に、コロッケをつけ、コロッケそば にして食す。
だんだん汁を吸って ふやけていくコロッケが少しく不憫のような気もする。
揚げ物として、サクっと揚がったものを、汁に浸し ふやかす…
徐々に、汁に侵食され、サクっと感は今は昔。
上方出身の魚屋*2曰く、「昔は関西では コロッケそば なんて見かけませなんだ」最近になって、関東の方から 徐々に浸透して来たのではないかとのこと。
江戸風の天丼は、揚げたての海老天をタレに どぷんと たっぷりつけて、あつあつご飯の上に乗せるということを鑑みても、関東の人間は 揚げ物をふやかして食すのが好きなのではないかと推測される。
開国の日も近い。
※ 翻訳者:魚田政太郎
魚屋御難
過日。
魚屋*1が来て、腰痛を訴えて帰る。
この不況下に、魚屋だけでは食べて行けず、副業に出掛けたのが祟り、一月せぬうちに胃痛と腰痛を患っていると言う。
おまけに、休日頭痛という、休みの日になると頭痛になる症状も頻出していると言う。
なんでも、平日、仕事中は緊張で脳の血管が収縮しているのが、休日になると、緊張がとけて、血管が拡大するせいで痛みが出るのだそうだ。
脳の中の血管は見えぬが、魚屋の額には、左右に一本ずつ立派な血管が走っている。
額の血管が、呼吸をするかのように、縮んだり、開いたりしている様子を思い浮かべていたら、気持ち悪くなって来たので、浦賀に向かって 空砲を発射した。
開国の日も近い。
※ 翻訳:魚田政太郎